① 「北海道百年事業」とその当時の社会への想いを述べた新聞投稿『北海道新聞(夕刊)』一九六八年五月一三日道内の百年記念事業② 北海道ウタリ協会による道内の「百年記念事業」 等に対する申し入れD-2408-9999-00028535読者の声アイヌを忘れないで ことしは北海道百年祭が道民の大きな関心事となっているようですが、私はこの行事になかなか興味を持てないのです。なぜならば私はアイヌ人だからです。私たちの祖先は明治以前からいろいろな形で圧迫を受けてきました。そしてこの進歩した今の世の中でさえアイヌの若い男や女が結婚しようとするとなにかと障害となるケースは珍しくありません。また同じこの北海道に住み、いっしょに暮らしていながら、いまなおアイヌ人を低く北海道百年事業等を契機とした動き北海道新聞社許諾北海道百年におもう見る人のいることも事実です。むろんきびしい自然条件の北海道に渡り、多くの困難を乗り越えて今日の北海道の繁栄の基礎を築いた人たちの努力には敬意を表わします。また北海道百年を機会に先人の労苦をしのぶことはけっこうなことと思います。しかし、北海道百年を記念して建設する百年塔のその土台の下の北海道の土には、われわれアイヌ人の流した悲しい血がしみわたっていることも忘れないでほしいのです。(釧路市・戸塚美波子=二〇歳・店員)北ア第 平成一〇年七月 各市町村長 北海道ウタリ協会「市町村における百年記念等事業について」一九六八年七月号様日 16 第2節 高度経済成長期の生活と文化257(4)
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