市町村における百年記念等事業について日頃から、アイヌ文化の振興並びに福祉向上等に関する施策について格別なご協力をいただき、厚くお礼を申し上げます。さて、これまでにも新聞報道等でご承知のこととは存じますが、市町村における「開基〇〇年」などと称する記念事業について、その名称をはじめ、事業のあり方などについて多くの論議があったところであります。これらの多くは「和人が本州から入殖し、未開の原野 それ以前から北海道に先住し、現在も脈々と生活をしてに鍬を入れ始めた時」などを起点としていることが多く、いるアイヌ民族についての視点が欠けている例の多いことなどが指摘され、すでに、昭和六三年に北海道が主催した「赤レンガ一〇〇年祭」に関連して、北海道知事から各市町村長あてに「アイヌ民族に関する理解の促進について(昭和六三年四月七日付け民総第八〇号、別添資社団法人 北海道ウタリ協会 理事長 笹村二朗 いて配慮するようにとの通知を出していただいているところであります。とくに、昨年制定された「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成九年法律第五二号)」では、アイヌ文化の振興やアイヌ民族の誇りを尊重するための施策の実施について、国・地方公共団体の責務等が明記されており、さらに、付帯決議の中でも「アイヌの人々の『先住性』は、歴史的事実であり、この事実も含め、アイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に努めること」とされているところであります。貴市町村におかれましても、これらの経緯等を踏まえ、現在計画中若しくは、今後計画する事業について、これらの点について十分なご配慮をいただきますようお願いを申し上げます。料〈略〉)」として、刊行物の発行や行事などの実施につ(公益社団法人北海道アイヌ協会所蔵)第1部 社会・文化 第4章 戦後社会の中のアイヌ民族の生活と文化258
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