の無料化を訴え、同様のことを高齢者に関しても求めているが、併せて高齢者に関しては年金制度の改正、老人ホームの拡充も要請している。この時期、家族の近代化、核家族化が進み、各世帯の主たる就労者による家族の扶養負担が高まっていた時期である。その一方で、女性の労働力率が低く、既婚女性の八割が専業主婦となった時期でもあり、そのことに伴う新たな婦人問題もこのころから明らかになってくる。た結果、各都道府県に設置を義務付けられた福祉施設である。北海道でも一九五六年に札幌市南区に設置され、婦人相談員が配置された。この報告書が発刊された前年度までの受付相談件数は一〇、三二五件であるが、結婚、離婚の相談が増加している。元々この施設の開設目的は、売春婦を被害者と捉えその一時保護と矯正のための施設であったが、相談者の三分の二が不純異性交遊や家庭不遇による未成年者となり、また、家庭環境などに起因する夫婦間トラブルなどの一般婦人問題の扱いが増えたという。資料では売春防止法に基づく婦人保護施設としてだけではなく、広く福祉に欠けた婦人の転落を未然に防止するための保護施設としての運営の検討を提言している。資料10からは、道内の民間団体が、どのようなことを行政に期待しているのかが把握できる。幼児に関しては医療資料11は道民生部の婦人福祉における相談所の概況を報告する資料である。婦人相談所は、売春防止法が施行され医療と福祉の改善婦人相談所の概況284第1部 社会・文化 第5章 保健・福祉・医療(3) (2)
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