北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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資料12は、北海道における地域精神医療に先進的に取り組もうとした「十勝ソーシャルワーク研究会」が発行した一九七〇年代になると医療ソーシャルワーカーが公立病院ではほとんど配置されるようになり、その役割や活躍が報道されるようになった。機関紙の創刊号に掲載されたものである。一九六五(昭和四〇)年には精神衛生法が大幅に改正され、入院中心の精神医療から地域精神医療へと転換し、保健所が第一線機関として役割を果たすことが明記されるようになった。資料では精神障害者の地域生活の実現に向けた保健所の役割として精神衛生に関する情報収集、精神疾患に対する偏見の是正、精神障害者の人権の尊重について明記され、精神障害者が危険視されていた時代に記されたものとして貴重である。(2) 農村医学の変遷農業に従事する人や農村に特徴的な病態や健康障害に取り組む分野を農村医学というが、資料13は基幹産業が農業である北海道で長年これに取り組んできた藤井敬三医師の書いた記事である。道民の農村人口が四八%から一六%へと変化する過去三〇年間の北海道における農村医学の歩みを振り返っている。藤井医師は農業従事者の職業的疲労病を農夫症と提唱し、他の研究者とともに定期的に現地での健康調査を行ってその対策や医療過疎について討論を重ねてきた。農村医学の取組は困難なものであったが、全国の中で北海道が重要な任務を果たしてきたことを記している。精神医療第五節 医療制度の変遷285解 説   (1) 

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