命率ともに地区によつて著しい差異が認められる。その原因については感染様式すなわちウィルス感染の濃度や頻度が地区により差異があつたことも考えられるが、流行期初期の炭砿地帯や農村地区に致命率、死亡率の高率な点よりみて、急性期における患児の安静保持と早期治療面の適・不適も大いに影響しているものと推測される。また、性・年齢別に観察すると、表二〈略〉に示すごとく、死亡率では男・女とも六カ月以上および一歳、五カ月以下の年齢層にPeakが認められ、さきに触れた罹患率の年齢別分布の成績と概ね一致するのであるが、罹患率のそれよりむしろ低い年齢層に高率である。一方、致命率は男・女とも五カ月以下と一〇歳以上の年齡層に明らかに著明なPeakが認められ、特に五カ月以下の乳児では、致命率・死亡率ともに高率なことは、この年齢層における能動兔疫が決して怱にできない事実を物語つているわけで、この点、罹患率の成績でも述べたように、わが国では従来〇歳の内五カ月以下の年齢層では罹患率が低く、致命率もまた同様であると考えられていた定説をくつがえすに足る現象である。なお、一〇歳以上になると罹患率は甚だ低いにも拘ら ず、致命率は反つて高率になる点も留意すべき現象であろう。(北海道立文書館所蔵)307第3節 疾病とその対策
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