北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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は市町村財政の貧困、理事者の無関心、無理解が相俟って、極めて消極的な活動に低迷しているところが多い。保健所はこのような市町村に対して、保健計画樹立の指導や技術援助を続けてきたが、援助が長年にわたり慣習化したために、市町村が主体的な活動を展開する意欲に欠ける結果を招いている点は否定できない。反面、理事者が保健活動に関心を持ち積極的に取組む意欲を抱いても、立地的な背景から医療従事者の確保が困難であったりするため、意欲が活かされないでいる個所も見受けられるが、一方ではキメの細かい保健活動に自ら取組み、多くの実績を築いているところもあり、今後こうした格差は増大するものと予想される。④ 医師をはじめとする医療従事者の不足北海道では医療従事者に対する養成機関の不足もあって、医師をはじめ医療従事者の絶対数の不足がみられ、この少い中から特定都市へ集中する者が激しいため、大部分の保健所管内では極端な医療過疎の現象を呈し、この傾向は更に拍車がかけられよう。このため地区の医療機関による地域保健活動への積極的な参加は期待し得ず、逆に保健所が巡回診療等の医療活動の援助を求められることが多く地域保健活動のキメ細かな取組みがなされないでいる。保健所内部においても医師の充足がなされておらず、保健所長の兼務個所が多いため、充分な指揮・監督の機能が発揮されないでいる。⑤ 新たな保健需要の中で、特に環境衛生部門における課題が激増している中で、これに対度)する専門家の確保と養成への努力の不足も保健活動のブレーキになっている。公衆衛生活動は従来伝染病中心の対人保健活動が主流       る程度活動の成果を挙げることはできたが、最近の公衆であったために、伝染病予防の技術者を確保すれば、あ衛生活動の舞台に登場してくるのは成人病、精神病あるいは難病といった、一層高度の医学的知識や技術を必要とする疾病であり、更には公害病など環境破壊にともなう健康阻害の問題である。公衆衛生従事者の教育・訓練の不足(ママ313第4節 地域の健康と福祉

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