地域精神衛生地域精神衛生における保健所の役割かつての合法的な私宅監置時代から、戦後の医療機関での医療保護時代を経て、昭和四〇年には社会情勢の著しい変化と精神医学の目ざましい進歩に対応して精神衛生法の全面改正が行なわれ、これまでの入院中心の精神医療から地域精神医療へと大きく方向を変え、保健所は名実ともに地域における精神衛生行政の第一線機関としての役割を果すことになつたのである。精神医療十勝ソーシャル・ワーク研究会『P&M CIAL WORK』創刊号一九七〇年一〇月帯広保健所普及課長 SOこの四〇年改正によつて、精神障害に関する発生予防から医療保護、社会復帰までの一貫した施策の体系化と具体的事項としては帯広保健所ではすでに以前から実行していた地域における精神障害者の相談及び訪問指導の制度化並びに通院医療に対する公費負担制度の新設、そしてもつぱら精神衛生に関する相談指導等に当る精神衛生相談員の配置などが規定されたが、この精神衛生相談員は、道内の全保健所(政令市は除く)とも、正式には未だ配置されていないのは残念だが、保健婦がこれの肩替りで頑張つている。桑原節夫 地域精神衛生の問題は、云うまでもなく単に保健所の みで、あるいは精神科医ひとりで解決できるものではない。〝地域における社会的つながりの中における精神障害者〟と云う捉え方をした場合、精神障害者につながる社会の全機能領域を含むものであり、行政的、法的な細かい業務や地域開発の技法なども必要となろう。私達の生活の中で精神衛生が取りざたされていても、それをどう取り扱うかとなるとなかなか難しい問題となる。ある第五節 医療制度の変遷32012 第1部 社会・文化 第5章 保健・福祉・医療(1)
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