北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
337/1232

Worker、精神科のソーシャルワーカー〕などの献身的ときは精神衛生は日常生活全般に拡大され、どこから取り上げてよいかとまどつてしまう反面精神衛生は専門家領域のものと考えて、精神科医にすべてを一任してしまうことがある。しかし精神衛生は決して一部の人のものでもなければ、糸口がどこにあるか解らないというものでもないようである。精神衛生の活動は、精神衛生業務に携わる人々の専門的知見と関連する社会資源を活用し、地域社会や生活環境等を十分考慮し、多くの人々の支持を得て推進されなければならず、その内容は、精神健康の増進という側面と精神障害者の処遇対策とに大別されるが、予防と医療と福祉がよく調和しながら進められることが涵()養であろう。当所では、管内の精神科医、PSW〔(PsychiatricSocialな協力と、これに市町村保健婦、看護婦、助産婦、福祉機関のケースワーカー、保母、心理判定員、特殊学級教員、家庭裁判所調査官などの参加を得て、四三年一月から毎月定例として「精神衛生事例会議」を開催し、既述編者注)ママのような考え方、仕方をこの会議に求め、組織化し、運用しており、文字どおり帯広地域における精神障害者対策の中枢となつている。そしてPSWの諸君は、この会議のリードマン的存在となりつつあり、また訪問活動に際しての精神科医と保健所(保健婦)を結ぶ太いパイプ役を果しつつあることは非常に心強いことである。保健所の立場における私個人としての当面する宿題はつぎの三点である。第一点は情報化社会の今日、地域にあつての精神衛生     め一般大衆の精神障害者に対する正しい知識と理解が深に関する情報の収集、処理は保健所の任務であると思う。これが適確にして効果的な処埋方法をどう求めようか。第二点は、偏見の是正についてである。患者家族をはじめられなければならない。これは息の長い仕事となろう。そして第三点は、理念としての基本的人権の尊重を、現実処理の場においてどう対応し、実践して行くかである。PSW諸君の示唆を得たいと思つている。(道史編さん室所蔵)321第5節 医療制度の変遷

元のページ  ../index.html#337

このブックを見る