過労死の原因と背景北海道民主医療機関連合会 過労死の原因と背景完全週休二日制の導入が一般化している一方で、中小企業を中心に長時間・不規則・超過密労働が原因の過労死も、依然として問題になっている。企業間の労働条件の格差は逆に広がっており、死にいたる労働条件はいまだ改善されていないのが現状だ。最近では、弁当作りなどの深夜パー卜に従事する主婦が疲労を訴え、医療機関を訪れるケースが増えるなど、新たな問題も浮上しているという。働き過ぎと過労死『北海道医療新聞』一九九七年二月二一日川島亮平医師に聞く道過労死問題研究会世話人のひとりでもある道民医連の川島亮平医師に、労働が労働者に与える影響などについて話を聞いた。【死にいたる労働】一九九三年師走、当時勤医協月寒医院に勤務していた川島医師に午前中、発熱や下痢などを訴える男性が訪れた。二十四歳。点滴をしていくよう勧めたが、「すぐ午後の仕事に戻らなければ。夜も忘年会があり、新入社員だから出席しなくてはならない」と話した。川島医師は振り返る。 「とても忘年会を楽しみにしているような感じは受けませんでした」。なんとか点滴を受けさせ、仕事の様子を聞くと「残業の連続で、休日も出勤しなければならず、睡眠時間もほとんど取れない」ともらした。二日後、男性は自室アパー卜で発見された。死因は急性心不全。推定死亡時刻は来院した日の夕方頃だった。労働基準局はこれを労災と認め、現在男性の家族は企業側に過労死責任と損害賠償を求めている。第六節 二〇世紀末の医療・福祉課題32514 第6節 二〇世紀末の医療・福祉課題 (1)
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