生殖を不能にする手術で命令をもつて定めるものをいう。」とあり、強制的に不妊手術を実施してよいことを定めている。さらに、第四条には「医師は、診断の結果、別表に掲げる疾患に罹つていることを確認した場合において、その者に対し、その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要であると認めるときは、前条の同意を得なくとも、都道府県優生保護委員会に優生手術を行うことの適否に関する審査を申請することができる。」とあり、疾患とは遺伝性の精神病、精神薄弱、身体疾患等である。「前条の同意」とは未成年者、精神病者又は精神薄弱者の同意は得なくてよいことが法律に記されている。当資料から富ケ丘学園(江別町(当時))、報恩学園(札幌市)、もなみ学園(札幌市)において、該当する入所者を申請するよう積極的に求めていたことが分かる。また、当資料に「ただ子供を生れなくするだけの手術であり」と、一生子どもを持てない深刻な人権侵害という認識がなく、当事者の思いを顧みることもなく、一方的に手術を勧められた事実が明らかとなる資料である。境上の様々な課題の解決に向け期待を持って歩み出した様子がうかがえる。一九六〇(昭和三五)年に精神薄弱者福祉法が成立する以前から、北海道では会を組織し、初代会長は北海道大学城戸幡太郎教授が就任し、保護者が協力し、政策の改善に向け声をあげることを鼓舞する様子が伝わる。るための趣意書である。北海道重障者福祉村建設推進委員会が中心となり、親亡き後も重度障害者が安心して生活できる「村づくり」を目指し、一九七九年に栗沢町に全員個室型の入所施設と、本人たちの力を発揮できる授産施設等の設立に至った。地域に開かれた街づくりを目指し、地域連絡協議会を設け、町民と共に歩む施設を実現させた。資料36は、北海道精神薄弱児育成会(手をつなぐ親の会)の会報の創刊号である。知的障害児(者)を取り巻く環資料37は、主に脳性麻痺を中心とする重度身体障害者のための入所・授産施設として道立の北海道福祉村を建設す第二節 入所施設設置運動344第1部 社会・文化 第6章 社会運動
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