声 明 平和で明かるい田園都市を夢見て、日々の労働に励んでいるこのおだやかなわれわれ長沼町民の前に、全く知らぬ間に、突如、戦争のどす黒い恐怖が襲いかかつてきた。五月三十一日のミサイル基地を長沼に設置が内定したという報道は、この平和な町民の生活をいつきよに恐怖のどん底につき落とすものである。我々町民が日頃親し長沼事件長沼町ミサイル基地設置反対共闘会議「声明文」(三宅信一「矢臼別のたたかい 所収)みを持ち、その静寂なたたずまいに愛着をおぼえているあの馬追山の中腹に、不気味に輝くミサイルが九基も空にそびえ立つという。何の必然性があつて、我々はミサイルを欲するか。我々は脅かされる必然もなければ、また我々みづからミサイルを欲したわけでもない。我々の生活を全く無視する存在として、ミサイルが持ちこまれようとしているのである。日本国民は、その憲法の中で、全世界にさきがけて戦争放棄を高らかに謳い上げた。戦争のためのいつさいの武器を持たぬことを宣言したのである。しかるに、政府は国民の最大の願いである平和の精神を踏みにじり、昭和二十五年から始まつた朝鮮戦争を口実として警察予備隊の設置を図り、昭和二十九年には自衛隊とし、数々の反動的既成事実の積み重ねのもとに昭和三十五年日米安全保障条約を締結し、その軍国主義化政策を露骨に押し進めてきている。これはアメリカのベトナム戦争に代表される戦争政策の一環として日本をその防波堤とし、日第二節 自衛隊・海兵隊と反対運動8 長沼事件に関わる反対運動の声明368 文 (5)」一九六八年 (1) 第1部 社会・文化 第6章 社会運動【市民・環境・政治運動】
元のページ ../index.html#384