北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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本をしてアメリカとともに戦争への道をひた走りに走らせようとするアメリカの要請によるものであり、その要請に応える政府は、国土防衛という名のもとに、ナイキ・ハーキユリーズをはじめとする核ミサイルを導入し、第三次防衛計画による核基地化を強化してきている。今や日本のいたる所で軍事基地化は押し進められている。美しい日本の国土は陸において荒廃をきたし、海においては原子力潜水艦による海水の放射能汚染によつて国民は不安におびえ、一方基地周辺では先の板付基地〔(当時のアメリカ軍板付基地、現在は大部分が返還され福岡空港となる。〕周辺のジエツト機墜落による被害等、国民の恐怖と不安は今まさに頂点に達している。そしてその魔の手が、今やこの長沼の地にしのび込もうとしているのである。この問題についての公式な発表は五月三十日に行われた長沼町臨時町議会において中川町長から発表されたのが初めてであるが、伝えられるところによると、この設置の準備は一月頃からすでに進められていたという。つ編者注)まり、五月三十一日の全林野〔(労働組合〕札幌地本が行つた局長交渉の席上明らかにされたところによると、一月段階ですでに防衛庁から林野庁に用地移管の要請があり、四月には農林大臣がそれを承認し五月三十一日をもつて移管手続きを完了した。そこまで具体的に進められていた準備を町行政者が知らなかつた筈はない。それをひた隠しに隠しつづけ、我々町民の幸福と切実なる願いを無視し、権力に迎合しようとしている。この姿勢は全く町民のための町民による政治に完全に背を向けた姿勢といわざるを得ない。我々はこの点においても断固として町行政の非を追求しなければいけない。私達はこの長沼の地を愛し、この町をより平和な住み  土を残そうと考えている。水害の無い長沼を切に願う農良い所にしようと日夜努力をしている。そして子供達を愛し、その我々の子孫に我々の尊い遺産として、この郷民の生活を破かいする水源かん養林伐採など生活の糧としての田園を荒廃に導かぬために、さらにはわれわれの子供達を戦争の恐怖から救うためにも、この郷土を、こ編者注)369第2節 自衛隊・海兵隊と反対運動

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