北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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を克服し乍ら尚且つ踏み止まって今日に及び努力を続けて参りました事は未開発の眠る一万数千陌に及ぶ奥地の軈て開発されて別海村奥行臼、西別市街、春別、中標津町、計根別、西春別、泉川、標茶各駅より根室本線厚岸町、糸魚沢、茶内、浜中、姉別、厚床の各駅を繋ぐ交通網の完備、之れに附帯する諸文化設備、諸産業設備完成を見て共に其の恩恵に浴する事が出来るのであらう事を計算に入れて希望を捨てずに今日迄頑張り通しました事は既定の事実であります。過般の新聞記事によりますと、第三矢臼別地区の開発計画が具体的に進められ、近かく実施段階入る由承たまはり我々の悲願成就の日も遠からん事を思い胸を撫で降ろして居りまし(所、仄聞する所によりますと此の地区が自衛隊の演習地に転用される事になりつつあると云はれ大いに落胆して居る次第であります。之れを他に転用する事によって、之れ迄の奥地開発計画による枢要幹線交通機関の継続実施及び諸文化産業施設の早期実施等を中止又は変更されるに於ては折た脱カ)角の悲願も水泡に帰し極めて遺憾なる事態等も予想されますので農用地として開拓計画を強行される様各関係町村に於ては各関係方面に折衝の上、町村百年の計を誤る事のなき様緊急御取り計らい方を要望致します。一、農業開拓は無より有を生する事業であって、一度開拓された農地よりは未来永劫無窮に物資が生産されるので国は多少打算を越えても徹底的な計画を樹立す可きだと思はれます。従来の開拓方式が経済効果を云々して不徹底極まる方式に堕した事は多くの脱落離農者を出して却って国家的損失を招来したので、今後は徹底した開拓方式を樹立される様町村当局に於ても鞭撻される事を強く要望します。一、従来の開拓地は、其の地域内に於ける道路其の他の施設は稍完備されて居るも隣接の既設農村に一歩出つれば之れ等設備不完全のため開拓地域内だけの用に供されるのみで云ふならば島流しの型となつて居るが、国は之れ等の実情を勘案して、隣接の既設農村を通過して各鉄道停車場枢要市街地に通ずる幹線交通機関も371 第2節 自衛隊・海兵隊と反対運動

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