北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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きれないし、まだあまりくわしく知りませんが、鶴見俊輔氏が尊敬している女性です。私が釧路と旭川で話したことの要点と言えば、つぎのようなことです。本年八月号『世界』に鶴見俊輔さんの「戦後の次の時   的な意味をもっていることを指摘しつつ、その状況によ代」という論文(講演速記)が載っています。そのなかで鶴見さんは、現在の日本の置かれている状況が、国際く耐える状況の呈する問題を受けとめてそれを生きるということが重要だ。という意味のことを言われています。私もそうだと思うのです。そこでいわれている状況とはなにか、どういうものを状況のさし出す問題と考えるのか、ということが次に当然問題になります。それをベ平連はベトナム反戦運動という切り口で切ってとらえているわけですが、私たちのみじかい、ささやかな実践経験に照らしても、反戦運動は、かつての平和擁護運動とはことなって、現状変革を求めることと内容的に結びつき、反戦と同時に変革を追及するという姿勢を参加者たちのあいだに形成してきつつあります。ベトナム反戦運動から七〇年安保闘争へ、という大きな流れがいま形成されつつあります。七〇年安保闘争というのは、六〇年のそれとはちがって、沖縄奮)還をテコとする人民の攻勢的運動であり、いまわれわれは、抗議、反対、防衛、抵抗から、反乱と攻撃へと態度を決めつつあります。その原理は、「人間」の可能性の全面的な解放、自己変革と自治(〝日大闘争勝利のうた〟の一節に、学生は何を創ったか/自治と自己変革、というのがあります)ではないか。それは困難ではあるけれども、ベ平連の運動がよく状況に耐えるには、その生みの苦しみを耐えなければならないのではないか、ということでした。(奪カ札幌べ平連『札ベにゅうす』№二九(花崎皋平氏所蔵)一九七〇年四月長沼ミサイル基地フンサイ!382第1部 社会・文化 第6章 社会運動【市民・環境・政治運動】14 

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