弁証法)。―「地域」をるつぼ化することもうひとつは、川崎から出た意見である。これも基本のところはおなじ自力更生的な社会形成を論じた意見であった。山谷から川崎へと場所をえらんできた発想を総括して、矛盾が凝縮され、問題が必然的に露出せざるをえない場所をさぐりあて、その場のなかに解決の方向が見える小さな空間をひらくこと、そこで社会全体を解放していくイメージや想像力を汲み出すという方向で現実を熔かして行くこと、それが自分たちの方向である、と川崎は語った。矛盾と想像力のるつぼとしての地域にこだわりたい。そのなかから未来社会を展望したいという書 ―のである。私は、こうした議論をきいていて、ひとつとても面白く思ったことがあった。それは、「地域」を軸に、という立場がはっきりと打ち出されたことによって、かえって日本全体をどうするのかという全体論を問う問いが誘い出されてくるという振子の関係である。弁証法ということばを使ってもいい。この振子をもっと振り幅の大きいものにしたい。そのダイナミズムを、これからのたたかいのバネにしてゆきたい。二〇世紀もあと一〇年ほどで終ろうとしています。この世紀は、かつてないほどの速度で科学が「発展」しました。そして私たちの環境や暮しも急速な変化をとげました。しかし、それらは私たちにとって本当の豊かさをもたらしたのでしょうか。世界の中では「経済大国」といわれ、国内では「国際趣 意 (特定非営利活動法人さっぽろ自由学校「遊」所蔵)ピープルズ・プラン・21世紀.北海道実行委員会『ピープルズ プラン 北海道』 一九八八年(文責 花崎皋平)趣意書389第3節 「組織」の運動から「市民」の運動へ17 21世紀
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