北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
431/1232

な地域として注目されているところです。2 まず、大雪山の高山部に生息しているガンコウラン、イソツツジ、コケモモ、コマクサなどが、湖周辺の標高八〇〇メートル付近に生息しています。蘚苔類も日本では他に一か所しかないものも発見されています。カラフトルリシジミという氷河期からの生き残りと言われる天然記念物の蝶も生息しています。哺乳類ではナキウサギです。もちろんクマゲラ、シマフクロウも生息しています。このように、ここ周辺に孤立して、ここの地形にあった特殊な生物分布が見られ、全山天然記念物として指定しても全くおかしくない地域を作っています。ナキウサギは、北海道にしかいませんが、世界的にはキタナキウサギの亜種といわれています。ただ、然別湖周辺は、他のナキウサギとは孤立している可能性があり、遺伝的にはさらに変化しているかもし3 四 1 れません。そうすれば世界にもここだけの生物となる可能性があるのです。このように、この地域はまだまだ新種の生物の発見や、世界的に調査する価値の十分あるところであることが理解できるでしょう。道道士幌然別湖線道道士幌然別湖線は、いまどのような目的でこの特異な自然環境の中に作られようとしているのでしょうか。帯広土木現業所のパンフレットによれば、* 道路ネットワークの形成東大雪の道路ネットワークとして国道や道道と接続する重要な道路、然別湖の人々の緊急時の代替、短絡道路* 地域振興観光拠点との連絡を円滑にし地域の活性化に貢献* 広域観光ルートの形成415   第6節 自然保護・環境運動の隆盛

元のページ  ../index.html#431

このブックを見る