北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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しかし、話し合いの中で、私たちが指摘していた①プライバシーが守られる保証がない②真の同意が得られる保証がない③拒否権の保障が具体的でない④調査施設、調査対象者の抽出方法に作為性が働かない保証がない⑤保安処分に連動する恐れがある等の問題について、何ひとつ具体的に説明されず私たちの疑問は全く解消されておりません。それどころか、知事が実施主体の責任を放棄し、「医師の判断と良識」に一切の責任を押しつけようとしていることに強い怒りを覚えずにはいられません。知事は、「精神障害者」が差別の中でどんなにつらい思いをしているのか、このような調査が「精神障害者」の気持にどれ程の不安を与えているのかを深く知って欲しいと思います。医師と患者の信頼関係を強く要求される精神神経医療の現場にこのような調査が持ち込まれれば、多くの混乱が起こることは明らかです。しかも、ご存知の通り、三十日、神奈川県、滋賀県に続いて東京都が中止を表明しました。東京都の返上で全対象者の二割が対象から外れることとなった今、「実態調査」は統計的にも、もはや意味のないものとなっています。私たちは、知事が速かに「中止」を表明されるよう、再度、強く要請するものです。又、「実態調査」の内容・目的、施設名、施設調査対象者の抽出方法、同意の方法等一切を明らかにするよう要請します。横路孝弘 一九八四年二月二日北海道連絡会北海道知事 (北海道立文書館所蔵 事務局長 〔人 名〕㊞ A一一一 九二九六)  - 殿      ’83精神衛生実態調査を実施させない435第3節 障害当事者による障害者運動:地域生活の実現

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