北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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議議長山田昭義のあいさつから始まった。山田議長はあいさつの中で、障害者の権利の確立の必要性とともに、平和の尊さを世界の指導者に訴えた。これは、DPIが障害者福祉だけでなく、社会全般の問題に関与していく姿勢を強調するものである。続いて世界議長(今は前議長)であったジョシュア・マリンガ氏は「世界の障害者の八〇%は発展途上国におり、障害者を貧困や差別から開放する闘いは始まったばかりである」という強烈なメッセージを送り、感動を誘っていた。基調講演へとプログラムは移った。演者は前米国教育省次官で現在世界銀行の障害問題顧問を務めているジュディ・ヒューマン氏である。講演に入る前に、この会議の直前にお亡くなりになったDPIの生みの父であり、今回の札幌大会を誘致するきっかけをつくったヘンリー・エンズ氏をはじめとする世界的な障害者運動のリーダー三名の方たちへの黙とうを行った。これらの方々が世界中の障害者に与えてきた影響の大きさは計り知れない。3 「分科会」及び「小グループによる自由討議」分科会は二日間にわたり一五テーマ、四〇こま設定さ  平洋障害者の十年」や「人権」、「障害種別や社会状況をれた。DPIの世界会議はいわゆる福祉の集会ではなく、社会全般を討議する場であるということ、また、世界各地域の活動などを取り上げることなどから、様々な種類の分科会が設けられている。「自立生活」や「アクセス」などから、「条約」や「女性障害者」「生命倫理」など、最近特に関心が高まっているもののほかに、「アジア太乗り越えた連帯」や「開発」などである。ここでは主な分科会について報告する。 「条約」の分科会も多くの人が集まったが、ここでは障害者権利条約の条文にどのような内容を盛り込むかということがまず話し合われた。何が権利であるかということは、障害当事者自ら声を上げていくことが大切であり、そうした声をまず自国に帰ってから上げていく、上げる力をつけることが大切であるということが議論され〈中略〉439第3節 障害当事者による障害者運動:地域生活の実現

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