北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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た。特に途上国の参加者からは権利条約に関する情報不足の指摘があった。また、権利条約を実現するために立場を超えて障害関係団体が力を合わせる必要がある、との意見が出された。特に世界盲人連合(WBU)の会長で国際障害同盟(IDA)の議長を務めるキキ・ノルドストーム氏などから、DPIを含め七団体で構成する国際障害同盟の協力体制を確固にすること、その前提として自国内の活動において、様々な団体と協力体制を作り上げる必要性が指摘された。 「生命倫理」分科会は、立ち見も出るほど。グレゴ・ウオルブリング氏は、「ユネスコの世界人権宣言の第六条で、何人も遺伝子をベースに差別されてはならない、と明記されている。実際には出産における性の選択は禁止されているが、障害を対象にした胎児の選択がされるのは差別である」と述べた。安積遊歩氏は、「出生前診断や遺伝子操作で人間の命を操作できる大変な時代になっていることを日本のみなさんに認識してほしい。お腹のなかから障害者が差別されている」と、自分の体験を話した。また、「ゲノムの研究で遺伝子情報が収集できるようになり、遺伝病の素因をもった人が雇用されない。アメリカ障害者法は障害者の雇用差別解消に役立っていない」との問題提起もあった。最後に(1)違うことの権利がある(2)自分の子どもを設計する権利はだれにもない(3)人間(person)の概念は能力をベースに決めるべきでない―ということをこの分科会のまとめにしている。(北海道立図書館所蔵) 440第1部 社会・文化 第6章 社会運動【障がい者運動】

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