㈢ 作業素質検査かくて、内田クレベリン作業検査を通して見られる街 語 作業曲線の型より見ても、彼女等の知能水準が甚娼の特質とも言ふべきものは、 一般に、作業量が甚だ僅少であり、誤謬率が高く、又其の作業曲線型に低能型を示すものが多いこと、だ低いことが覗はれる(これは、前節の知能検査無感動型を示すものが多いこと、北海道民生部婦人児童課『街娼についての調査 第二報 〈中略〉〈略〉の成績と一致する)、北大調査班』一九五一年であらう。これらの事実は、我々が街娼に対し、何らかの指導をしたり、その更生策を樹立しようと試みたりする場合に、是非とも考慮に入れなければならない事実である。かくて我々が行つた作業素質検査と、知能検査との二種類の精神検査の実施によつて、何事がわかつたのであらうか。知能検査の結果は、街娼が程度の差こそあれ、精神薄弱者であること、芸妓もその程度を出てないことを示してゐる。また作業素質検査の結果は、街娼が知能劣等者であるばかりか、作業素質において、常人の域を外れた異常者が頗る多いことを示してゐる。この二つのこと、わけても第二の事実は、注目すべきことである。これは彼等に対する更生対策を科学的に考へてゆく場合には、頗る重要な意義をもつことがらであると思はれるからである。といふのは、作業素質の異常順応遅緩も一つの特徴と見られるものである、意志障碍者が少くないこと、㈣ 結 第二節 戦後女性の人権問題と北海道の対策売春に関する実態調査(2) (1) (4) (3) 444第1部 社会・文化 第6章 社会運動【女性の人権を求める団体活動】44
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