北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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であるといふ事実は、彼等の大部分のものが、何か他の職業についたとき、成功する見込みの少いことを預言するものだからである。興奮型のものは、仕事が粗雑で、間違ひや仕損じが多く、責任ある地位や仕事につけることはできない。また、意志弛緩型は、何事にも乗気を見せず、仕事をだら志解消型は、むら気が多く、仕事をやるかと思へばすぐ気が変つてしまふ。その他、上に異常型としてあげた諸型は、何れもその仕事に対する素質が常人のそれと異つてゐるものであつて、かゝるものは、常人のするやうな仕事についたとき、そのもちまへの異常性を示すために、常人の列に伍してゆくことができないものであるしかもそれらの作業素質の異常性は、街娼においてはなほ低知能と結合してゐるのである。作業素質の異常なこと自体がすでに救ひがたい欠陥であるのに、それに加へてなほ、平均知能は9歳5ケ月程度に過ぎないとすれば、いかなる職業に就かしめて成功せしめることができるであらうか。とやり、万事に役に立たない。意かくて当面の問題に関する我々の結果は、いかに彼等の更生対策が難問題を含むかを示唆するものである。彼等の更生策・転業策は、かういふ彼等の実体を考慮に入れて考へなければならない。彼等の更生策は、口に論じ筆にするには容易であるが、科学的にこれを樹立するとせば、これら結果に照らすときは、容易な問題とは考へ〱    ることができないものなることがわかる。もしかかる条件の下にもなほ彼等に持つてゆくに適した職業がありとせば、それはいかなる職業であるか。もし知能低劣・作業素質異常のまゝで就き得る職業がありとせば、そのとき彼等の多くのパーセントの者は、一応更生の糸口を見出すこともできよう。かゝる職業がいかなるものであるかは、科学的な職業分析をひろく諸種の職業について行つてみて決めねばならない。かゝる職種が果して存在するや否やの検討は、次の問題である。しかし、彼等の更生は、かりにかやうな職業が見付かつたとしても、今一つの難関にはゞまれてゐる。それは彼等が生活に放縦なことである。一度ゆるんだ生活をし445第2節 戦後女性の人権問題と北海道の対策

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