北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
466/1232

Ⅰ 婦人団体の現況1.概況今日、二世紀へと歩む北海道は、とりもなおさず経済成長による近代化のプロセスである。その中で婦人団体は、婦人の社会的地位の確立、地域社会の福祉、文化の向上と、婦人と密接不可分な家庭生活の近代化をめざして、活発な組織活動が展開されている。こうした今日の婦人団体を基盤として、過去百年の歴史をたどってみると、明治憲法時代の家族制度を骨子とした、男性本位の法律の下に婦人の地位はきわめて低く、法律的に、政治的に、また社会的に、そして経済的に生婦人団体の役割と組織状況北海道総務部青少年婦人事務局『北海道における婦人団体の概要』一九七〇年活する上で差別され、年齢・階級・貧富の差にかかわらず、男性に比較して、基本的人権をいちじるしく無視され、大きな歴史の流れに支配された中で、婦人にとって灰色の時代であったといえるであろう。昭和二〇年戦争終結によって、現在の憲法に男女平等が規定され、民法、労働基準法、その他法制上の改革を契機として、逐次婦人団体が結成され、日本の再建と女性解放を叫んで、民主活動を積極的に展開してきた婦人団体の隆盛は、今日の活発な組織活動にみることができる。しかし、戦後の混乱した社会情勢の中で、複雑多岐にわたる人間関係に苦悩し、婦人もまた、婦人特有の閉鎖的で排他的な弊害に陥り、社会性に乏しく、婦人の法的地位と実態との間に大きなギャップがあり、社会全体としては、いまだに男性優位の思想が根強く残っていた新しい問題に直面した時期であり、また婦人団体の自主的運営によるゆき詰りなど、幾度もあともどりをした時期でもあった。声を上げる     (2) 450第1部 社会・文化 第6章 社会運動【女性の人権を求める団体活動】47 

元のページ  ../index.html#466

このブックを見る