調査(三六機関)から構成されています。すでに実施された東京都および総理府の実態調査とも比較検討できるよう、基本的な質問項目を揃えたうえ、独自の質問を設定しました。調査の概要をまとめてみます。アンケー卜調査・DV被害の実態には全国的な共通性がある/二人に一人が心理的暴力に苦しみ、三人に一人が身体的暴力を受け、五人に一人が性的虐待を経験している。生命の危険を感ずる暴力体験も一〇人に一人と高い率を示している。・被害者と加害者の認識には大きなギャップがある/五一人の被害女性に対して暴力を振るったことがあると答えた男性は一九人。このギャップがDVの温床である。・同居家族への影響は深刻/子供への深刻な影響が回答されたのは六六・四%、児童虐待とDVとは密接な関連がある。・暴力被害の相談情況/四割の女性が誰にも相談できず、半数以上の女性が暴力の継続と被害の深刻化に恐怖を感じている。・面接会場へいらした方は三〇名。二〇代から七〇代まで。うち五〇代の当事者が三割。・最初の暴力は交際が始まってから、結婚直後が多い。最もひどい暴力は、同居後五年以上経過してからが多い。・なぜ暴力を振るうのか。被害者の解釈は支配と被支配の関係に言及している。・暴力の実態は、身体的暴力、心理的暴力、性的虐待、経済的支配等が複合されており、妊娠中の暴力による死産や入院を要する重傷を負わされたケースなど、深刻なものが目立つ。・暴力の程度は、だんだんひどくなっており、なかには二〇~三〇年を経過している事例もある。・被害当事者の心理的状況としては、恐怖心を訴えるものが最も多く、我慢しよう、頑張らなければ、という感情に言及するものも多い。最初の暴力では「なぜこんなことがおこるのかわからない」という心理状態になり、最もひどかった暴力の直後に「逃げる決心と準備」行動被害体験者面接調査480第1部 社会・文化 第6章 社会運動【女性の人権を求める団体活動】
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