た洪水を体験した中学生の作文である。洪水で流される牛とそれを助けようとする父親の姿がリアルに描かれている。震と津波の被害の概要をまとめたものである。被害は、最大の被災地である奥尻町を始め、檜山、後志、渡島の各管内や下北半島にも及んでいることが分かる。資料13は、特に被害が大きく、一〇七名の死者・行方不明者が出た奥尻町青苗地区での体験を綴った中学生の手記である。必死に高台に避難する様子とともに、地震と津波だけでなく、火事や土砂崩れも発生したことが描かれている。二〇〇〇年代の自然災害として、一九七七年の噴火から二三年後の二〇〇〇年三月三一日に再び噴火した有珠山に関するものを取り上げた。今回の噴火では、一万人余りの事前避難が完了しており、一人の死傷者も出さずに済んでいる。これは前回の噴火の教訓を踏まえ、火山防災マップを発刊し全戸配布していたことや、有珠山の麓に北海道大学有珠火山観測所があり常駐の研究者により地震を予知できたことなどが大きな力を発揮したとされる。ら手話通訳者の支援によって伊達小学校へ避難し、避難所で過ごす様子までが描かれている。障害者の避難と支援の実情を伝える資料は必ずしも多くないため、取り上げた。障害者を含めて、死傷者を出さなかった事前避難の様子の一端が把握できる資料である。資料12・資料13は、一九九三(平成五)年に発生した北海道南西沖地震と津波に関連する資料である。資料12は地資料14は、その時の聴覚障害者の避難と支援の記録である。三月二九日に事前避難を促すFAXが届いたところか北海道南西沖地震二〇〇〇年有珠山噴火489解 説 (4) (3)
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