その他関係方面と連絡をとり、強力な手をうち、異例の金融措置をされたほか、職員協力一致してあらゆる救援と復旧の途を講じられた。他方、国においても道に呼応して金融と各種の措置が進められ、国会でも各政党にそれぞれ特別委員会が設置された。かくて政府、国会一体となつて十勝沖地震災害復旧のため援助の手をさしのべられたのである。この間、道選出衆参両院議員全員をもつて「北海道選出議員連盟」が結成され、道議会議員とともに援助協力され、また報道機関はただちに特派員を現地に派遣し、正確な報道により全国民の同情に訴えるとともに、義捐金の募集にも当られたことなど、今なお記憶に新たなところである。かくて罹災者に対する義捐金品その他物心両面の同情は、国内から海外からとぞくぞくよせられ、国・道の対策とともにこれら一般からのあたたかい支援によつて、いかに罹災者が勇気づけられたかは想像以上のものがあり、心から感謝を捧げる次第である。当庁においては当時ただちに応急対策本部を設置し、職員あげて救援に努めたが、更にその後復旧対策本部として復旧を強力におし進めるとともに、罹災者の民生対策についても及ぶ限りの努力を続けた。この規模において関東地震に匹敵、福井地震の四倍といわれる十勝沖地震から早くも二年、今震災地を訪ねても当時の災禍の爪のあとは僅かしかしのぶことができない。北海道の総合開発はこの痛手にも拘らず着々として進められているが、しかし「災害は忘れた頃にやつてくる」ともいわれる。この不幸を二度と繰返さないために「禍を転じて福と 新しい建設にまい進したいと思う。なす」の教訓のごとく、きびしい体験を将来に生かしてここに十勝沖地震二周年に際し、当時の思い出をしのび復旧のあとをたどり、この復旧の偉業をたたえるベく、本書を刊行することとした次第である。491第1節 占領下・復興期の自然災害
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