津波については来襲頭初が干潮時であつたため、 も破裂し出水した。鉄道線路の沈下や隆起も多く、家屋の被害はほとんどなかつたが水産資源、特にコンブが噴火湾沿岸と下海岸地方(函館以東の津軽海峡沿岸)で著しい被害を受けた。 (若松町朝市付近):埋立地で地盤が軟弱なため数一〇軒が三〇~六〇㎝沈下し、水道管破裂により床近くまで浸水した。この水は夕刻ころから引きはじめたが、一八時過ぎ最高水位を示す津波が西側の崩壊した岸壁から侵入し、広範囲に浸水した。 (高丘町函館大学):鉄筋コンクリート四階建ての一階の柱が折れ押しつぶされた形となつた。特に中央部分が両側の圧力を受け崩落が著しい。付近にある二階建ての寮舍・民家には全く被害はなかつた。 (港町有川桟橋付近):地割れが多く海水や砂の噴出したところが多い。また地震と同時に地下の水道管可動橋ぎわでは地盤の沈下のため線路が約二〇㎝浮上した。 (松風町付近の歩道沈下):松風町デパートの南東側 (室蘭市):老朽家屋の壁、不完全な集合煙筒の破損 (鵡川町):胆振管内で震度が最も強く、被害も多くの歩道が最大約四〇㎝沈下した。その他大きなビルのわきの歩道が沈下したところが多かつた。胆振支庁管内:室蘭地方気象台等の被害は全市にわたつているが、特に地盤の軟弱な臨港埋立て地帯の港湾施設、蘭東地区の輪西町・東町・寿町・宮の森町・中島町での被害が大きかつた。建物の全壊・半壊も蘭東地区に集中し、シヨウウインドウの硝子などはこの地域のほとんどの商店が被害を受けた。その他全市にわたる停電で各機能が完全に止つたり、化学工場における地下輸送管の破損で石油・ガス等の危険物が噴出したり、水道管が各所で破損して断水したりしたが、大きな被害にはならなかつた。港湾施設は埋立て地に造成されているためほとんどの埠頭が被害を受けた。第1部 社会・文化 第7章 自然災害と防災(2) 510
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