一九七七年有珠山噴火/二週間の記録有珠山三三年ぶりの大噴火一夜にして灰色のまちに八月七日、洞爺湖は澄みきった青空のもと、北国の短い夏を惜しむかのように湖畔はおおぜいのキャンプを楽しむ人達でにぎわっていました。この明鏡洞爺湖が突然不気味な爆音をともなう巨大な噴煙にすっぽり包まれてしまいました。昭和十九年の噴火により昭和新山が誕生して以来沈黙をたもっていた有珠山は、午前九時十二分眠りからさめ、一九七七年有珠山噴火洞爺村『広報 とうや』№一二九一九七七年九月原子雲を思わせるまっ黒な噴煙を吹きはじめたのです。 「ドドッドーッ」という大音響イナズマが走り、煙はみるみるうちに広がり、あたり一面太陽をさえぎり、暗やみとなってしまいました。有珠山はこれまでたくわえたエネルギーを放出しはじめたのです。以下は噴火後二週間のドキュメントです。午前九時十二分、有珠火山外輪山の小有珠五合目付近で第一回目の爆発が起った。快晴のこの日、噴煙はキノコ状に広がり上昇していくのが、本村からもはっきりながめることができた。噴煙は、その後高度一万二千メートル上空にまでのぼり、北西の風にのって壮瞥町、伊達市上長和および関内地区に多量の火山灰、火山れきを降らせた。午後も一時三十一分、四時二十分、六時二十分に小噴 火を繰返した。二週間の記録…七日…第四節 高度経済成長期後の自然災害51310 第4節 高度経済成長期後の自然災害(1)
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