燃える青苗の町〈一九九三年七月〉燃える青苗の町七月十二日十時十七分、突然の大地震が奥尻を襲った。始めは軽い縦揺れで、電気が消えると同時に、すさまじく大きな横揺れが来た。その間約三十秒。部屋の物が次々と倒れ、壊れ、頭にタンスは倒れてくる、足に酒の奥尻町立奥尻中学校生徒会『夜明け~1993夏の日の記録~』一九九四年(北海道立図書館所蔵)〔学年 ビンが落ちて割れて、部屋から出るのもやっとの状態で、家が潰されそうなくらいの大地震だった。その時、青苗の祖父の家にいた僕は、すぐ自分達の家に帰るということになり、車で向かった。道路は盛り上がったり割れたり、民家の窓ガラスが割れたり、石油タンクが倒れ、道路はめちゃくちゃだった。青苗川の橋まで来たが反対側の道路が一mくらい陥没していて渡れなくて止まっていたら、第一波目だと思われる津波が来た。橋の上で車を回していると波が橋の高さくらいまで来て、車に少し波がかかった。それでもう焦って時速百キロ以上のスピードで高台へ上がる道へ向った。道が盛り上がったり陥没したりしているので、車がボンボン跳ねて頭をぶつけたりした。高台へ上がる時、上から何台か車が降りてきた。人 名〕 その人達は第二波と思われる津波にさらわれて死んだそうだ。僕達は危機一髪だったんだ。 計外内内岡 四 九 六‑‑六‑‑‑‑‑七‑‑‑一‑二一一高台へ上がってすぐ知り合いの家に行ったが港の方が赤くなっていて、みんな「火事だ!火事だ!」と騒いでいると、船だから大丈夫だという話を聞いて安心してい米 一五藻 神威脇一六幌 島 九七九四一一五三八二三二、七六九一七〇二七一四五〇九三52313 第4節 高度経済成長期後の自然災害
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