北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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西在公民館で一泊しましたが、ゆれがひどくて全然眠れませんでした。でも、何が起きても手話通訳者の田川さん、海老子さんが泊まり込んでいるので、心強く思いました。三〇日から伊達小学校へ移動になり、プレイルーム一室にろうあ者九名とその家族三名の避難生活が始まりました。先に市の指示で体育館に避難していた有珠山在住で同じろうあ協会会員の中崎さん家族もいました。はじめの頃は、テレビやFAX機が付いてないので、有珠山の状況が分からず、交信もできず不便でした。手話通訳者を唯一の頼りに過ごしていた状態でした。その後、北ろう連〔(北海道ろうあ連盟〕事務局長吉田實さん、北ろう連教育対策部一色秀和さん、北海道手話サークル連絡協議会事務局長久保田昭人さん、道手話通訳者佐藤薫さん、中村秀子さん、室蘭聴力障害者協会会長斎藤隆夫ご夫婦たちがかけつけて下さり、市役所の職員たちと一緒に、今後は手話通訳者二名泊まり込みの交替となるので伊達市登録員だけでは、人数的に足りませ編者注)ん。そこで、道内の通訳者の協力が必要となるなど色々と問題が出てきました。しかし、対策本部が設置され、これから色々な相談ができるようになるので私たちには大変力になりました。いつも困った時は伊達にかけつけて、協力し、助けてくれるので、本当にありがたいと思っています。通訳者の中には、一〇年、二〇年、三〇年と一筋の道を歩んでいます。その姿こそ、美しいと感じるものもありました。あの頃、若かった薫さんが…秀子さんが…今もなお手話の道を歩んで、ろうあ者の支えになってくださる姿に、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがたみが身にしみます。長い間、お付き合いをしている私は随分年をとったとつくづく思い寄せてくるものがあります。他に、初めてお会いした方もいましたが、しっかり、舞う手のひらの言葉のはしはしに感じる協力に私たちの気持ちもすごく和らぎました。伊達市手話登録員は昨年スターと()したばかり、取材の ト       526第1部 社会・文化 第7章 自然災害と防災

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