はんらんする〝お祭り〟大半が観光目あて〝粗製乱造〟に批判の声 〝北海道は年から年中お祭りだ〟と本州からの観光客が驚くほど、本道は観光目当てのお祭りが多い。札幌などは〝土、日曜に街にでれば、たいていなにかのお祭りにでっくわす〟と市民もあきれるくらい。それも戦前から続いている伝統のあるお祭りはほとんどなく、いずれもここ四、五年の間にバタバタとできた似たり寄ったりの趣向のものが大半だ。こんなお祭りブームに〝お祭りを粗製乱造しすぎる〟との批判もボツボツでている。『北海道新聞』一九五九年九月六日二月に札幌で行われる雪まつりを皮切りに道内で行われる観光目当てと思われるお祭りはザッと四十近い。札幌祭りのような名の通ったお祭りや、売出し目当ての商店街のお祭りを含めると百近いすさまじさだ。それらは大半観光シーズンの五月から十月に集中、しかも会期が二日から一週間におよぶから、シーズン中は毎日、道内一、二ヵ所でなにかのお祭りが行われている勘定。とくに七、八月に多いから本道にやってきた観光客は行く先々でお祭りにぶつかることになりかねない。〝年から年中、お祭りだ〟とあきれる観光客の言葉は決して誇張でない。しかし、これらの観光祭りのうち戦前から続いている伝統のあるお祭りは、函館の港まつり(七月)、標茶塘路湖のペカンペ祭り(十月)、小樽の雪まつり(二月)くらいのもの。そのほか終戦直後に始まり、ことしで十回以上続けているものは洞爺湖の湖水まつり(八月、十二回目)、帯広の平和祭り(八月、十二回目)、札幌の雪まつり(二月、十回目)などで、あとはいずれも観光ブ第二節 観光目的のまつりへの批判と新しいまつり9 はんらんするお祭り第1部 社会・文化 第9章 まつり 588
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