北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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ームに乗りおくれまいとして、ここ四、五年前からバタバタと新造されたものだ。しかもこうした観光まつりは年々ふえる一方。ことしだけでも札幌のライラックまつり(五月)、花まつり(八月)、昭和新山火まつり(一月)、北見のハッカ祭り(十一月の予定)と四つも新造されている。函館の港まつり、札幌の雪まつり、洞爺の湖水まつりなどさすがに伝統のあるお祭りは中身も多彩で、道内外から見物にやってくる観光客も数多く、すでに名物となっているが、そのほかは内容もお粗末、趣向もほかをまねした変わりばえのしないものが大半だ。たとえば温泉まつりでは温根湯、弟子屈、留辺蘂の各地で似たような祭りがあり、さくら祭りにいたっては函館のさくら祭り(五月)に始まって厚岸のさくら祭りまで開花期を追って各地でミスさくら選び、演芸大会などを盛った行事が連続的に行われる有様だし、花にちなんだ祭りも札幌のライラック祭りのほか、花まつり(八月)、川湯の白つつじ祭り(六月)、紅うるし祭り(九月)、川西町のもみじ祭り(十月)、厚岸のあやめ祭りなど数多い。湖水まつりは洞爺湖のほか支笏湖、クッタラ湖、またサケ祭りは石狩のほか十勝川の幕別町、池田町と三ヵ所もある。ただ新造されたお祭りのなかで阿寒のまりも祭り(十月)などはアイヌのウポポ踊りなどを盛りこんだローカル色豊かなもので、八雲の酪農まつり、静内のシャクシャインまつり〔(法要祭〕、石狩のサケまつりなども特色あるものとしてだんだん道内外の観光客の人気を集めているが、粗製乱造気味のお祭りブームに観光界始め道民から批判の声がボツボツ。お祭りのたびに寄付をつき合されるデパート、商社な    どでは〝毎月のように協賛費をとられる。宣伝費と思うにしてもお祭り過剰だ〟。また観光界は〝こうお祭りがふえてしまっては珍しさや興味がうすれる。特色のあるものだけにしぼってほかを整理した方が…〟。お祭りごとに狩り出される自衛隊、道警、各学校のブラスバンドの中にも〝こうお祭りに追いまわされてはプロみたいな編者注)第2節 観光目的のまつりへの批判と新しいまつり589

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