編集を終えていやいや、驚きました。札幌にかくも祭りが、たくさんあるなんて。本州の京都や横浜などの市役所では、以前から祭りを特集したグラフ誌がありました。それを見るにつけ、いまひとつ札幌の祭り状況を物足りなく思っていました。「札幌にも必ずある」「人が住んでる限り本州に負けない祭りがあるべき」、そう心の中で叫んで見切り発車したのが、この企画。不足もありますが、札幌初の〝祭りの本〟をひそかに自慢したいところです。ここに収めた札幌の祭りは、一覧表を含めて九百七十札幌市広報課『グラフさっぽろ』二号一九八二年一二月二件。繰り広げられているすべての祭りの八割(?)ぐらいでしょうか。未収録の祭りを支える皆さん、どうぞご寛容下さい。古くからの祭り、新しい祭り…すべてを網羅できないほどに、札幌人が演じる祭りは底知れないエネルギーを持っています。市内各地に脈打つ祭りは、およそこの小誌に収め切れないほどの広がりがある。なんだかうれしくなってきました。祭りの一覧表を作る過程で不思議なことに気付きました。六月十五日は札幌祭りの本祭、八月十五日はひと月遅れの盂蘭盆ということもあるでしょうが、札幌の祭りは六、八、九月とこの十五日前後に集中して開かれているのです。七月にもさっぽろ夏まつりの一部が開かれますが、やはり海水浴のシーズンということもあって祭りも押され気味なのでしょうか。それにしても札幌の祭りは、わずか三カ月ほどの陽光の季節に集中しており、北に住む人々の短い夏の日を心から謳歌しようという気持ちが伝わってくるようです。祭りにカメラを向けていると、ファインダーの中に、 第三節 まつりへのまなざしの変化と更なるまつりの創造九七二にのぼる札幌の祭り第1部 社会・文化 第9章 まつり15 598
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