北海道の有線放送施設一、有線放送施設とは一般的に有線放送施設とはどんなものかというと、一箇の拡声装置(我々はこれを本機と言つている)があり、この本機から、電線を所要の場所に引いて幾つかのスピーカーに連絡をし、本機のマイクロフオーンで各スピーカーに音声を伝えたり、レコードを聞かせたり、又はラジオを受信して、各スピーカーに聞かせるものと言える。北海道ではこの原理を農村に応用し種々の連絡通信に役立たせている点において、一寸特徴のあるものとして農業協同組合研究会『農業協同組合経営実務』九巻七号一九五四年七月〔人 名〕(北見地方指導連) 注目されている。又、このための法律まで公布されている点において面白いものであろう。(法律六(百三十五号有線放送業務の運用の規正に関する法律、昭和二十六年四月五日)これから述べる北海道の有線放送施設は、あくまで農村における有線放送施設に限定するものであることを念頭において戴きたい。北海道の有線放送施設は、昭和十八年から始まつている。札幌市の西南羊蹄山の近く、喜茂別村において、六百戸の農家がラジオを共同で聴取したことからその端を発する。点々と散在する農家に対して一台の本機でラジオを受信し、有線で各戸のスピーカーを鳴らしたのである。この喜茂別村のラジオ共同聴取の施設を見てから、暫くの間あまり各方面に普及を見なかつたのであるが、上川地方において、昭和二十二年に若干の施設を見、昭和二十三年には施設数二十一、加入戸数二、三〇〇戸に伸び、昭和二十四年北見市上常兄()農協組が五百戸農家に二、有線放送施設の歴史 呂 一)三五第一節 農村における有線放送1 有線放送施設の普及とその意義612第1部 社会・文化 第10章 地域からの情報発信
元のページ ../index.html#628