わが「新北海」の責務の第一は道民のための真正なる与論の形成と反映につとめることである。しかしこの責務は厳正公平、不偏不党の立場に立つてはじめて果し得るものであり、高邁なる精神批判を堅持することによつてその目的がよりよく達成される。わが「新北海」は深く省察、自戒、確信をもつてこの責務を遂行せんと欲するものである。次にわが「新北海」は祖国日本再建のために、真摯、 忿懣と闘争、混沌として定まらぬ祖国の現状においてそ建設的なる論議の展開と促進、及び実践的施策の樹立に協力せんとするものである。今日、わが日本は物資的にも精神的にも荒廃の極に達してゐるのであるが、この惨憺たる祖国の現実を直視して、あらゆる困苦と艱難をのりこえて民主主義的平和国家日本を建設することが今日国民の双肩に荷)せられた責任である。しかし飢餓と窮乏、の再建の基礎をどこに求むべきであらうか。それはわが北海道を措いてはあるまい。広大なる土地と豊富なる地下資源は再建の物質的なる基礎であり、明治の開拓者精(ママ神はその精神的基盤となり得るであらう。雄渾なる開拓史にみる進取的なる精神と、剛き、不撓の闘魂を継承せる北海道民を中心として推進することによつてはじめて可能となるのである。わが「新北海」はかゝるものとしての郷土北海道の建設を通じて新日本の再建に尽力せんことを志すものである。第三には新聞の公器性に対する責任を堅持することである。新聞倫理綱領に示されたる自由、責任、公正、気品等は前述のごとき使命に生きんとする新しき新聞、すなはちわが「新北海」において最もよく遵守され得るものと確信する。「古き革嚢には新しき酒はもるべからず」旧慣と堕性に禍ひされる既成新聞のよくなし得るところではない。わが「新北海」こそが新聞の公器性を自信をもつて強調し得るものである。最後にわが「新北海」は常に道民のよき伴侶として、よき相談相手として、道民と共にあるとの信念の下に進むものである。高邁なる精神のもとに、高踏独善に堕いらず正しく、明るく、そして楽しめる新聞をつくること、616第1部 社会・文化 第10章 地域からの情報発信
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