いい内容の作品が集まることだろう。思いつくまま創刊号から、小誌「街」をひもといてきたが、今あらためて、この中に函館のまちの歴史があることを知って懐かしい思いである。(北海道立図書館所蔵)この小さい雑誌をふる里を愛する人びとにささげます海と山につつまれた港まち小樽のかぎりない夢と繁栄をねがいながらいつも新鮮でありますようにいつもこころの友でありますように皆様のお引立のほどお願い申しあげます〈中略〉『月刊おたる』五〇号一九六八年八月その頃、わたしは北書房の仕事を札幌でしていた。道内における刊行物を手がける関係もあり、ほとんど全道を飛び廻っているような連日であった。そんなわけで家のある小樽に帰ってくる時は疲労の極で戻ってくるのであるが、小樽の町そのものが抱いている暖かさは旅の疲れなどふっ飛ばしてくれるのである。住めば都で落ちつくからだろうなどと言われればそれまでであるが、とにかく同じ港町でも函館や釧路ともちがう、ましてや平野の札幌や旭川にはまるでない、一種独特の起伏の魅力が小樽にはあるようだ。それをたまらなくわたしは好きで、死ぬなら小樽、である。だから、銀座百点や月刊さっぽろにシゲキされてか、小樽にも郷土雑誌が欲しいという声が出始めていると聞いて一も二もなく飛びついた。ところが、ところがである。いざ七月創刊と決めてはみたものの、まるで何も彼も始め、原稿のこと、社員のこと、共賛商社のこと、ス〈中略〉月刊おたる創刊号のころ9 月刊おたる628 第1部 社会・文化 第10章 地域からの情報発信
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