す。この数字は、一つの資源として見たとき、どういう意味を持っているのでしょうか。もし、毎月一一〇tの廃油がすべて回収されたと仮定してみましょう。これを全部せっけんにすると、年間で約二〇〇〇tのせっけんができることになります。これは、旭川市全体の合成洗剤の推定年間使用量にほぼ匹敵するのです。家庭から出る廃油だけ見ても、三六〇㏄の廃油があれば、五〇〇gのせっけんをつくることができます。洗濯一回分のせっけん使用量は四〇g前後ですから、洗濯一二回分のせっけんをつくることができるのです。もちろん、実際には、地域で出る廃油をすべて回収するのは不可能です。しかし、篠原石鹼では、四年前から町内会や消費者グループ、知人らの協力を得ながら廃油集めを開始し、現在では毎月一〇t(旭川市全体から出るとされている廃油の一〇分の一の量)を回収しており、せっけんの原料として生かしています。天ぷら油などに使われた廃油は、二〇〇度近い高温で加熱され、天ぷらカスなどの不純物が混入しているため、油としてのさまざまな特性は劣化しています。しかし、精製して不純物さえ取り除けば、洗浄力に関してはほとんど影響がありません。また、何種類もの油が混じっているので、多種多様な汚れに強いせっけんができます。廃物利用(リサイクル)という点からも、廃油はせっけんの原料としてうってつけで、公害の防止にもなり、一石三鳥です。北海道には、ほとんど廃油だけで良質なせっけんをつ 心とする本道は、全国一の〝産油国〟なのです。廃油にくる優れた技術が生きています。しかも、一次産業を中加えて、農漁村から出る大量の油(米ぬか油、大豆油、獣脂、魚油など)があります。実は、ぼう大な量の油を毎年〝輸出〟しているのです。むしろ、原料を外国の石油に依存する合成洗剤こそ、一一年前のオイルショックのときの「洗剤パニック」のようなことが、いつまた起こるとも限らないのです。〈中略〉639第5節 ミニコミ誌の隆盛とその性格変化
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