一九八八(昭和六三)年以降の北海道の住宅の状況が分かる資料として取り上げた。道は、一九八八年から産学官連携の「北方型住宅」の研究開発・普及推進に取り組み、北海道の住宅の質の向上を図ってきた。それは全国的な環境重視型社会への対応の中で国が定めた性能基準や認定制度に対して、道が独自に定めた性能基準を満たす住宅を普及させるものであり、さらに、少子高齢化の中で北海道における世帯や家族のあり方が変化するニーズにも対応したものである。本資料では「北方型住宅」の二五年を振り返り、北方型住宅の誕生、技術的変遷、住宅基準の変遷、これからの北海道らしい豊かな住まいづくりを総括している。組み」である。一九五〇年設立の「北海道立ブロック建築指導所」は五五年に北海道立寒地建築研究所、八九年に北海道立寒地住宅都市研究所に機構改革された。一九九〇年には北方型住宅認定制度を導入し、住宅性能評価が実施されるレベルまで建築技術が向上したことにより、それまで建設廃棄物でしかなかった民家などの良質な道産木材を利活用する道が開けただけでなく、これまで培ってきた高断熱・高気密技術を応用して、防寒対策のない明治期の入植者住宅など、劣悪な住環境で五〇年以上経過し、歴史的建造物にもなった建築物を、北方型住宅と同等な環境性能で再生してよみがえらせることが可能になった。明治以降の課題であった住文化においても、新たな北方生活文化の創造を可能にしたのである。資料18は、二〇〇三年三月の『建築雑誌』における道の取組を紹介した記事「林業復興と保存再生 高断熱・高気密技術の展開北海道の取り661(2) 解 説
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