北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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〔㈢主食の選び方〕開拓農家の経営が完成期に入つてからの主食は、理想    の調理労力を節減することができるので、農繁期に於てから云えば粒食一、粉食二位の割合に構成したいものである。亦た粉食は主としてパンにすることが、調理時間の節約其他から考えて理想である。パン食が採用されゝば、部落の共同加工場でパンを焼き、各戸に於ける主婦はその効果は特に顕著である。パン食の普及と洋食浸透中村孝二郎『開拓地の寒地生活』一九五二年パン食の採用に当つて、一番問題になるのは副食物の選択である。主食のみ米麦中心の粒食から粉食のパン食に切り換えても、副食物が旧態依然として味噌汁と漬物だけでは、パン食は永続きもしないし普及力もない。これが為めには肉、鶏卵、乳等の畜産物を高度に利用して、動物蛋白と脂肪を充分に摂取しなければ到底パン食は永続きはしない。然し幸なことに、寒地食生活を必要とする高冷地や寒地の開拓地の営農は、主畜農業経営型態によらなければ成功を期し得られないので、主畜農業の経営によつて自給し得る畜産物の利用について、充分なる指導啓蒙が行われるならば、寒地食に於て必要とする動物蛋白と脂肪の自給は可能である。この動物蛋白と脂肪を上手に利用する様になれば、パン食は従来の米麦中心の粒食に取つて替ることは容易だろう。パンと云つても、従来の食パンでは栄養の点から完全と云えないので、これに動物蛋白と脂肪を添加した所謂〈中略〉【食文化】第一節 食生活の変化の兆し1 主食の選び方662第1部 社会・文化 第11章 食文化・住文化【食文化】(1) 

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