(いづれも中玉)、長葱一〇〇匁、生姜(親指大) 一個。砂糖一五匁、醤油一・五~二合、清酒五勺、七味唐辛子、胡椒、味の素少量。羊肉は脂肪や腱を取り除き繊維に直角に薄く大きく切る。(約三㎜)、りんご、みかん、玉ねぎ、生姜は卸金で卸して木綿布で搾り、此の果汁の中に羊肉と二~三㎝に切つた長葱を加へてよく混和し約二時間侵()漬する。次に小鍋に醤油、酒、砂糖を入れ火にかけて沸騰させる。然る後冷却して予め果汁に浸漬した肉に加える。更に胡椒、唐辛子、味の素等で味を調へる。此のたれをかけてから三〇分位後が美味である。一方七輪に炭火を起し鍋をかけ、鍋が熱くなつたならば羊脂(出来れば胡麻油)を塗り肉を汁から取り出し乍ら焼いて食べる。肉は、七分通り火が通つたところで裏返し、さつとあぶる程度が最も美味である。尚たれを全部肉にかけてしまはずにその約一/三薄くなる。煮た羊肉に酸の強いソースやレモン汁をかけて食べるのもよい。羊脂は硬いので冷えると味は落ちるからなるべく温いうちに食べ、スープ等は一旦冷却して表面に浮んで固化した脂肪を掬い取つてから利用するとよい。羊肉は組織が粗いので他の肉類にくらべると熱の通りが早い。従つて強火で短時間に調理することが出来、味や栄養の損失も少くてすむ。又料理の種類によつては幾分焦がす方が香気を増し歯当りが良くなる。調味料として砂糖を用いるのは余り好ましくない。又香気の強い野菜や調味料を用いる事も必要であるが余り度を越すとかえつて不自然になる。生姜、葱などは最も適し、芹、くわい、三葉、牛蒡等の香の高い野菜を取り合せて汁物、和え物にするのも一つの方法である。揚げものに使用する油は動物性の油よりも胡麻油とか、落花生油の様な植物性の油の方が適している。成吉思汗(鍋羊肉)材料(五人分)羊肉五〇〇匁、りんご四個、みかん三個、玉葱二個、調理法 664第1部 社会・文化 第11章 食文化・住文化【食文化】 浸
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