時代が到来しそうな夢をのせているような名前に、正直度肝を抜かれました。当選者の四人の名前が、洋志、里佳、里香、みゆきさんとありました。なかなかモダンな感じがしました。そして米袋のデザインが決定的でした。伊藤正道さんという新進のイラストレーターの作品とのことでした。先日息子のところへ電話しましたら、孫が出てきまして、幼稚園へ行ってる方が「キララ」と言いますと、一才十ヵ月の小さいのが「サンキュウナナ」と読んでいました。兄が面白がって「キララ、キララ、」とやりますと、しゃべりはじめの弟が「サンキュウナナ、サンキュウナナ」と一生懸命でした。父親が農業改良普及員なので、子供が「きらら三九七」を覚えたとしてもおかしくはありませんが、やはり色鮮かな米袋にひかれた母親経由のPR効果でした。この母親は「ササニシキ」の宫城産ですが…小生としましては〝蛙の孫は蛙だ〟と嬉しがってる次第です。先日もNHKが、六三年産米について穀検の官能テストの結果、「きらら三九七」が「ササニシキ」を上廻っていることを図で説明したあと、山形県庄内経済連の参事という人にコメントさせていました。〝これからも北海道では「きらら三九七」よりさらに良いものが出て来ると思いますが、よきライバルとして負けないように頑張りたいと思っています。〟と答弁していました。その昔、農林省食糧研究所のある研究室長(専門はよく分からないが評論家として有名だった)が、〝わが家のベランダに「ササニシキ」と北海道米を並べておくと、訪れた雀は北海道米をまたいで通り、「ササニシキ」だけ食べて帰る。北海道米は鳥またぎ米だ。〟と言いました。同じ実験を「きらら三九七」でやってもらいたいものですが、実験者はいざ知らず、その時の雀はもはやいないことでしょう。北海道米の新しいエースと期待される品種「上育397号」の名称が「きらら397」と決まった。 従来、育成者が丹精こめて作りあげた新しい品種に名新品種「きらら397」〔人 名〕 676第1部 社会・文化 第11章 食文化・住文化【食文化】
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