北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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建設面では、耐久的で、且つ、防寒的な住宅を促進する必要があるとともに、維持改善面において、現存する住宅を補修して耐久化し、防寒し、少しでも減耗戸数を少なくすることが極めて重要な課題となっている。幸い、数年来の新生活運動の効果も手伝って道民、特に農民の間における住宅改善の意欲は非常に高まって来た。又、公営住宅、融資住宅のモデル的効果も、その指導に大きな役割を演じている。しかしながら、今後は、その意欲を如何に組織化し、技術指導を如何にして導入するかが問題である。地域の広大さに較べて指導技術陣容の小さいことは、大きな隘路である。指導技術陣容の強化を、今後の課題として検討すると共に、民間技術、民間資金の動員を考慮したい。その意味で、北海道共済農業協同組合連合会の資金及び技術の運用に注目している。農業共済連は、農家家屋の新築共済(毎年二〇〇戸新築)及び更生共済(契約六万件)を実施し、又そのために数人の技術者を擁している。更生共済の積立金は、一件当り三~五万に達し、本年より相当数が満期となって支払われているのでこの資金に、道や市町村や共済連の技術指導が直ちに及ぶならば、改善の実績は見るべきものがあろう。この指導面に、道としては力をそそぎたい考えである。都市の住宅の維持補修については、北海道住宅建設公社をして、相互銀行等とタイアップして、企業採算をとりつつ公益的に実施させることを研究している。北海道の建築が、本州そのままの移入であり生活面においても技術面においてもなんら寒地建築でないことは、つとに識者の指摘するところである。明治のはじめ本道開拓の当初において、黒田長官時代の論達文書に「就中家屋は防寒の最も緊要なるものにして云々」とある如くアメリカ式やロシヤ式の試験家屋が建てられた事実もあるが、その後の拓殖政策からは没却され、個人経済に放任されてなんらみるべき施策がなかった。しかし、現在では、建築部を設置して指導行政の強化を図り、全国に未だその例を見ない道立ブロック建築指導所をも設けて四、寒地建築研究の推進698第1部 社会・文化 第11章 食文化・住文化【住文化】     

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