北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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いる。その結果ブロック生活の指導は、ほぼその緒につき、今後の発展が期待されるが、更に一歩を進めて総合的な寒地建築の推進のために、ブロック建築指導所を中心に関係の機関を統合して、寒地建築研究所の設立を図るべく目下検討中である。寒地建築は、そのきびしい気候的制約のために、冬期の凍上、凍害、雪害によって各部の破損腐朽を早め、耐用年限を著しく短縮しておるのみならず、構造においてもそれらに耐えるものとし、防寒化しなければならないから、建築費の増嵩を来している。これに対し建築経済、熱計画、建築計画、建築衛生及び建築構造等の各種の立場から、いかにして建築費を切下げ、しかも効果あらしめるか、又、本道内の資源をいかに有効に利用するかを総合的に研究し、その結果を指導行政にうつして、科学的な行政の基礎をつくろうとするものである。このことによって、寒地建築の普及も長足の発展を遂げるであろう。他方、この研究所において、現在最も不足している現地の技術指導者や、寒地建築の技能工等を養成し、都市ならびに農漁村の住宅改善の普及指導にあたらせたい考えである。むすび本道の住宅建築については、解決すべき重要な問題は山積し、しかも本道の広大さと、会計年度その他の矛盾ある諸制度と、更に加えて地方財政のひつ迫とは、問題の解決を益々困難にしているが、わたくしども当事者は、決して勇気を挫かれないで、地味な努力を傾注しているし、将来も益々あらゆる方法で邁進しなければならないことを強調するものである。(国立国会図書館所蔵)699第2節 敗戦後10年の住宅政策   

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