〔積雪寒冷地域の気候風土に適合した住宅の開発道科学大学教授〕谷口尚弘北海 〈一九五五年頃〉日本の近代・現代を支えた建築―建築技術100選―委員会『日本の近代・現代を支えた建築』三角屋根コンクリートブロック造住宅は、耐火建築物の促進とともに、北海道の木材資源の保全と地元の材料の火山灰・火山礫を有効的に活用するためにコンクリートブロックを活用し、北海道ブロック建築研究所などを中心とした産・官・学により開発された寒地住宅の代表寒地住宅の成立 二〇一九年例であり、一九五五(昭和三〇)年頃から北海道住宅供給公社によって全道の主要都市に供給される。三角屋根コンクリートブロック造住宅は、急勾配の切妻屋根をもつ北海道独特の空間構成と形態を有し、戦後の北海道住宅の最高傑作といわれている。三角屋根コンクリートブロック造住宅の特質は、急勾配な切妻屋根、凹凸のないシンプルな形態、居間中心型の平面構成、「中二階」、集合煙突の設置、オープンな庭、である。これらは、居間に置かれたストーブ一つで居間・食堂・台所・居間に接続する二つの部屋を同時に暖房できること(暖房効率)、適当なところに調整可能な温気ダクトを設けると一階からの暖房余熱を利用できること、屋根が急勾配のため屋根雪処理がいらないこと、簡素な平面は必要以上の基礎が必要ないため凍上防止・凍害防止などに有利であること、外面積を少なくすることにより屋根のかけ方も簡単であり工費も少ないこと、「中二階」は一階部分の六割前後の費用でできること、住宅の内外におけるオープンな生活様式が可能なこと、さらに群とな第三節 防寒住宅促進法と課題三角屋根コンクリートブロック造住宅700第1部 社会・文化 第11章 食文化・住文化【住文化】(1) 13
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