北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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れなかった結露という現象に悩まされ、また木造住宅ではさほど問題にされなかった凍上害なども壁体の亀裂が目立つために誇大に宣伝された。これらの欠点は、その後北海道立ブロック建築指導所(現在の道立寒地建築研究所の前身)の懸命な努力によって漸次改善され、現在ではブロック造住宅は寒地住宅の一つの形態として確立されたものとなっている。しかしブロック造住宅の難点は、内部の間取りや窓などの大きさに構造学的な制約が強いことと、外観が一定の形に固定され易いことにある。これに比べると、木造住宅は設計上の自由度が大きい       が行われて、木造防寒住宅の建設に拍車がかけられた形上に、スタイロフォームやグラスウール、ロックウールなどの新しい断熱材の普及によって、高度の断熱が可能になって来た。しかもブロック造よりもやや安価に住宅を供給し得ることから、ブロック造住宅の人気は次第に後退し、遂に昭和四四年には防寒住宅促進法の一部改正となった。更に昨年八月の建設省告示により、カナダ材の輸入とカナダ工法(枠組壁工法)の導入によって、木造住宅の大量供給が計画されている現状である。しかし、この姿は寒地住宅として果して正しいものであろうか。防寒住宅促進法制定当時に叫ばれた、住宅の不燃化や木材資源節約の問題は、すでに解消してしまったのであろうか。さて、ここにもう一つ重要な問題がある。北海道の過半部は、寒冷地であると同時に多雪地である。特にこの地域の都市部では、屋根雪の処理の問題を無視することはできない。過疎地域は別として、最近は都市部の宅地割りが著しく小さくなって来たので、屋根から辷り落ちた雪は隣地や道路にはみ出して、庭木をつぶし、隣家にとび込み、また交通を阻害し、時には人命に危険を及ぼしている。当事者は案外気にしないでいる場合が多いが、一種の都市公害を作り出していると言ってよい。これを防止する最善の方法は、水平に近い屋根、すなわち「ろく屋根」を採用して、雪を屋根上に留めておく702第1部 社会・文化 第11章 食文化・住文化【住文化】

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