ことである。我が国では鉄筋コンクリート造のビルデングの場合は、以前から「ろく屋根」を採用することが普通に行なわれているので、市中のビル街では、上に述べたような屋根雪公害はほとんどみられない。住宅地でもこのような「ろく屋根」を採用することができたら、冬の居住性は著しく改善されるであろう。札幌市や旭川市のように急膨脹を続けている都市では、郊外に向けて公共団体や私企業による宅地開発が行なわれているが、本州の大都市周辺に比べて土地の入手が容易であるために、独立住宅地としての宅地割が常識的に採用されている。しかしこの状態が続けば市街地域は急速に膨脹して住宅用の適地を蚕食し、周辺地域と都心との距離が拡大し過ぎて、行政側の都市施設の整備はこれに追従できなくなってしまうであろう。この対策としては、所謂中高層集合住宅の建設が最適であることは言うまでもないけれども、北海道というイメージから言えば、余りにも住環境が圧迫され過ぎる感〈中略〉を免がれない。以上の接点として、ここに述べるようなテラスハウスは見直されるべきであろう。この住宅形式は、敷地の有効利用と共に、冬季における積雪の処理の面からも、暖房用エネルギーの節減の面からも極めて好ましいものである。(北海道立図書館所蔵)703第3節 防寒住宅促進法と課題
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