ちの流行時代作家・貸本作家の颯手達治である。代主任教授となり、「北海道文学」理念の精神的支柱となった風巻景次郎門下の近代文学研究者たちが中心となった評論・研究同人誌である。小笠原克は和田謹吾や山田昭夫が進めてきた「北海道文学」の主張を「主体的」に展開していく。のちに、小笠原らの地方性への拘泥を撃つことになる亀井秀雄も同人だった。ほかに布野栄一、千葉宣一、川島至、野坂幸弘、神谷忠孝、中野美代子らが寄稿している。公園の北海道立文学館の管理運営を担っている公益財団法人北海道文学館は、はじめ任意団体として、事務局を札幌地方簡易保険局、札幌時計台に置いていた。一九六六(昭和四一)年秋の北海道文学展を契機に、六七年四月、正式に設立され、のちに大通公園の札幌市資料館に間借りすることになった。資料の収集・保存の中心機関たる北海道文学館の設立は、本道の文学運動の頂点と目された。更科源蔵、和田謹吾、木原直彦らの尽力により、「北海道文学」の理念化が目指されたが、館活動は池澤夏樹、工藤正廣、平原一良らに受け継がれ、広く北海道を越えた企画も提供されている。道文学」批判である。柴橋伴夫は評論、詩、美術など文学のウィングを広げ活躍している。資料15は、『位置』創刊号の「編集後記」である。執筆は小笠原克。戦後、北海道大学に創設された国文学科の初資料16は、『北海道文学館報』第一号に寄せられた「北海道文学館設立の趣意」である。現在、札幌市中央区中島資料17は、笠井嗣夫、上林俊樹、柴橋伴夫、中森敏夫、灰谷睦郎らが創刊した同人誌『熱月』に掲載された「北海第二節 「北海道文学」へ720第1部 社会・文化 第12章 美術・文学
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