全道美術は疏開画家の集りだから、そのうち駄目になるとかなんとか云う声がきこえる。大体、疎開画家なんて云う名前が今でもあるのが変な話だが、全道展が駄目になるかならないか第二回展、第三回展と次第に充実して行く內容を見れば自ら分ることだろうと思う。後から、後からと優秀な作家が出て、全道を踏台として中央画壇全道美術協会の設立全道美術協会事務局『第三回全道展出品目録』〔一九四八年〕に登場するもの既に幾人もある。多分今年の第三回展にも秀れた新人は発見されるだろう。井の会場は今年大分拡張されたが搬入数はぐつとふえる見込であり、作品も大きくなるから入選数は余りふやす訳には行かないらしい。それ丈質的に向上することが考えられる。今から開会の盛況を楽しみにする。全道展は創立以来、北海道新聞社と共催と云う事にな 意、更に商売の傍、準備に後始末に手伝つていたゞいたつていて、色々な形で之までもお世話になつたものであつたが、今年は駒崎事業部長以下各部員諸氏の熱意ある協力を得たことを感謝に耐えず、之に対しては全道展の質的優秀性をもつてこたえたいと思う。又催物申込の多い今井百貨店が二週間に亙つて会場をあけて下さつた好松浦君その他諸君に謝意を表する次第である。(北海道立近代美術館所蔵)(田中記) 【美術】第一節 戦後の復興1 第三回展の開催〔編集後記〕第1節 戦後の復興723(1)
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