北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
749/1232

かけられている。すべり出した道立美術館建設予算案、道費に初計上 臨時の道立美術館二月十五日に発表された道の四十二年度当初予算案に初めて道立美術館費が計上され、内部改造と防湿、暖房設備などの費用四千八十四万円、運営費八百七十五万円、計四千九百五十九万円が予定されている。七月一日開館を予定。一―二階を合わせ、五室、四百四十平方メートルの展示室ができる。ほかに会議室、休憩室をあわせても五百平方メートルほど。たとえば『道展』や『全道展』の会場に使われる札幌の今井デパートのホールは約五百平方メートルほどある。これと比べても、余裕のある広さとはいえない。『北海道新聞』一九六七年二月二三日七月一日開館めざす運営には、館長、学芸員など五人の職員のほか、美術館の諮問機関として民間の識者を選んで道美術館協議会を設ける。個人展などに会場を貸さない。公募団体展などに制限していく方針。館の当面の課題は、三岸好太郎作品を保護し、広く一般鑑賞に向くように展示していくこと。三岸家が出した条件もあり、さしあたりは〝三岸記念館〟の色彩が強くなりそう。少なくとも一室以上は、常に三岸作品がかけられることになろう。美術家たちや道美術館建設期成会の人たちは、臨時のものとはいえ、これで一応本格的な道立美術館建設の導火線が切られたと喜んでいる。杉野目同期成会長(北大名誉教授)も、『道が五千万円もの予算を計上したことには、お礼を申し上げたい。これから、さらに新しい本格的な美術館を建てるために、この機会をのがさずに運動や陳情を続ける』と張り切っており、また同期成会運動の縁の下の力持ちとして終始東奔西走してきた石田栖湖同期成会事務局長も『これで第一歩を踏み出した。で7 三岸好太郎遺作の受贈と道立美術館第2節 美術館設立運動733     

元のページ  ../index.html#749

このブックを見る