われの衷心より深謝するところである。あとがき 〝裸人群〟といふ名称は、画家の齋藤尙さんから戴いた。且て齋藤さんがやつておられた絵のグループの名前である。その謂の如く私たちは、生れたばかりの裸ん坊の集りである。私たちには昨日はない。随つていまより先があるばかりである。私たちは何時の時でも、今日より明日に向つて、その名の如く、当に若々しくて新鮮で、自由(公益財団法人北海道文学館・北海道立文学館所蔵)文學集團裸人群『裸人群』一号一九五〇年五月編集同人 奔放な仕事をやつてゆきたいと念願してゐる。朝谷 耿三 いろいろな意味で、同人誌を出して行くことは難しい增井 廉 事だ。企画をたてる時は、あれもこれもと、欲望は限り西田喜代司 なく生れる。しかし、現実の障碍は逃れられない代物だ。その為に、思はぬところで無残にも小さな夢も断ち切られる場合がある。そのやうな障碍は、全く月並みなもので、誰れでもが承知し予想してゐるものなのである。しかし、それを乗り越へて行くことは、想像以上に至難なものである。また反面、さうしたいばらの途に於てこそ、やり抜かうとする意欲も湧いて来るといふもの。創刊号は、編集の体裁からいつてはまづいものであつ おいてゐるのだから、何んら恥じることがないものと思たかも知れないが、要は、私たちは作品の発表に主眼をふ。雑誌の体裁にとらはれて、決して私たちは作品を生み出しはしないのだ。時には、これはと思ふ作品であるならば、独り全部のスペースを占めてしまふ場合にも現(增井 廉) 路線の対立第1部 社会・文化 第12章 美術・文学【文学】14 748
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