北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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践として否定するであろう。さしあたって本誌は、文学における北海道的なるものの問題の追跡と、独自な方法意識による研究評論と、その両者を有機的に結びつける資料の発掘飜刻と、それらを包み包まれる主体的回想、そして個性的創作による実験的な場を構成してゆくであろう。年二回ないし三回の予定を支えるべき財政に不安がつきまとってはいるが、大方の支持を得るためには、本誌の質そのものの充実こそ第一条件であると考えている。同人全部が必ず執筆すること、それを本誌の原則としたのだが百頁建という枠もあり、また力作と自讃してよいものが揃ったので、次号送りとなったのも多い。千葉宣一の文学原理的な長篇評論は次号を飾るだろうし、安住誠悦の明治文学論は緊密な構成をもって人に迫るだろう。今井・大炊・布野の評論、小田の小説はいずれも続稿がある。川嶋至の川端康成論、サロン風の欄に顔を見せた沢田・野坂・亀井・池田は、いずれ素描に肉づけした(板カ坂)垣の欧米文学展望も始まるし中沢の友人チヌカルコ塑像を築くと思う。ロの独自な画風も本誌の特長となるであろう。埋草に書いた記事は、そのうち〝ほっかいどう〟という欄に独立させる。中条百合子の未発表書簡、有島武郎の新資料、北海道文学史の資料整備など、特集も企劃している。次号発刊は四月の予定である。創刊号を以て本小誌の余りに露わな性格づけを我々は快しとしないものである。本誌への御高見その他、とりわけ資料的なものを提供して下さる方の御連絡を編集室ではお待ちしている。当分の間、本誌の事務は左記において扱う。(公益財団法人北海道文学館・北海道立文学館所蔵)札幌市北十六条西二丁目    藤短大 小笠原研究室気付 「位置」の会 編集室 第2節 「北海道文学」へ751     

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